従業員がデスクワーク中心の企業で働く産業保健師の仕事の特徴
産業保健師の専門性をより高める職場として従業員がデスクワーク中心の企業への勤務があります。
行政保健師の場合、保健所や保健センターのスタッフとして働くのが大半で、市民を対象としたさまざまな取り組みが主な仕事内容になりますが、産業保健師の場合は、原則として企業内でもっぱら従業員を相手に働くことになるわけですから、工場など怪我の危険がともなう職場でもない限りは、デスクワークが中心の従業員を対象とした産業保健師ならではの業務が多くなるのです。
社員の健康管理を通して企業全体の向上に貢献
ではデスクワークが多い企業における産業保健師の仕事には、どのような特徴があるのでしょうか。まず具体的な仕事内容。おもに従業員の健康管理となります。もっとも重要なのは、健康診断の結果を分析し、従業員の健康状態を把握しておくこと。もし異常が見られるなら、あるいは今後病気が発症するリスクが考えられるの場合、個別に指導することが求められます。そのためには、ひとりひとりの従業員の健康状態を細かく把握しておく必要があります。
それから仕事の量が非常に多く、憶えるべきことも大量にあること。大半の企業では産業保健師は数人程度。何百人もの従業員を抱えている企業でも産業保健師は2〜3人程度がせいぜいです。中小規模の企業なら1人というケースも決して少なくありません。この限られた人数で従業員の健康状態をすべて把握し、管理する必要があるわけですか、データの管理だけでも一苦労、さらに健康状態を把握し、指導やカウンセリング業務を行うとなるとかなり大変な仕事となるでしょう。保健師としてのスキルだけでなく、データ管理に関するスキルにも習達する必要があるわけです。
また、労働状況の改善が求められる場合もあります。労働環境が原因で従業員の健康状態が損なわれていると判断される場合には、企業に対して改善を助言するのも産業保健師の重要な仕事でしょう。この場合も、正式な書類の形で提出するケースも出てきますから、書類を作成する能力も求められます。